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税理士法人マッチポイント CBO・鈴木洋平さん|中小企業発展のため税理士業界の改革に取り組む

札幌圏
コンサルティング・リサーチ業界・専門事務所・監査法人・税理士法人
株式会社マッチポイントの代表取締役兼税理士法人マッチポイントCBOの鈴木洋平さん

2023年10月に税理士法人フューチャークリエイトと経営統合し、北海道No.1の事務所を目指す税理士法人マッチポイント。会計業界を活性化し、顧問先の発展のため、一歩進んだサービスを提供する理由をCBOで、グループ会社のマッチポイント株式会社の代表取締役を兼務する鈴木洋平さんにお聞きしました。

中小企業の経営を支える北海道No.1の税理士事務所へ

マッチポイントグループの事務所
マッチポイントグループの事務所入り口

2017年に会社を立ち上げ、2023年10月には同じ税理士法人のフューチャークリエイトと経営統合しました。今、どんなビジョンを持って活動していますか?

今は9割の中小企業が税理士事務所をつけている時代です。税理士の質が高くなれば企業は潤い、世の中がもっと良くなると信じ、北海道No.1の税理士事務所を目指しています。若手を中心とした会社づくりで、まずは100人規模の会社に成長させ、200人、300人とさらに大きくしていくつもりです。

税理士事務所は10人程度の小さい会社が多いイメージです。規模を大きくする理由は何ですか?

実は会社を立ち上げたばかりの頃は、1人で2000万円稼ぐような腕のいい税理士がいる事務所を目指し、従業員50人と顧問先1000社の10億円を稼ぐ少数精鋭の会社を作ろうとしていました。でも、僕らが起業した理由には、「北海道を元気する」ことも含まれていて、法人企業が約10万社ある北海道で、たった1000社程度しか関われないなら、全くダメじゃないかと気付きました。改めて事業計画を見直し、「道内企業10万社を幸せにする、影響力のある大きな事務所にしよう」と心に決めました。

多くの企業を幸せにするというのは、税金を適切なものにするということでしょうか?

節税とはちょっと違います。税金減らしたいという相談は多いのですが、顧問先の社長の話をよく聞くと、みなさん税金を払いたくわけではなく、キャッシュを稼ぎたいんですよ。なので、決算対策でも節税というより、社長がやりたいことへの先行投資を進めています。将来のリスクの対策や会社の整備、地域貢献など、税金を納めても十分キャッシュも残る企業の体質づくりをサポートしています。

税理士事務所は節税を進めるイメージが強いですが、企業コンサルのようにサポートしているのですね。

税理士事務所はお金に詳しく、顧問先の財務内容が分かり、社長に会うことができますからね。企業が何をしたいのかしっかり聞き出せる仕事です。でも、企業が何も相談できない信頼のない事務所があるのも事実です。「税理士は誰に頼んでも同じだから、顧問料を安くしたい」というのをネット上でもよく見かけますし……。でも、付き合う税理士事務所で会社は大きく変わりますよ。

ただ節税対策するのではなく、企業の立場になって、サポートしてもらえると、企業の未来は明るくなりますね。

僕らは、お客さんの“やりたい”を実現する「Design Your Style」をミッションに掲げていて、うれしいことに顧問先からは「マッチポイントなら会社が良くなる」と、僕らを投資として捉えていただいています。将来的に僕らのような事務所を増やし、会計業界全体で世の中を変えたいと思っています。そのためにも早く北海道No.1になって、他の事務所にも成功法を教えたいのです。

職員の育成に力を入れ、会計業界の若返りを図る

株式会社マッチポイントの代表取締役兼税理士法人マッチポイントCBOの鈴木洋平さん
税理士法人マッチポイントCBOで、マッチポイント株式会社の代表取締役兼の鈴木洋平さん

貴社は若者を多く採用しているイメージがあります。全国の平均年齢と比べても、若いのではないでしょうか。

そうですね。僕らの税理士は、37歳と45歳で業界でも若く、職員の平均年齢も36歳と若手が多いです。というのも、税理士の高齢化が今、大きな問題になっています。2014(平成26)年時点で、60歳以上が過半数を占めるデータが発表され、とても驚きました。

全国の税理士の平均年齢が60代以上ということは、小さい事務所ならなくなる可能性があるということですか?

はい。ベテランの税理士が、顧問先の課題解決に有効なITやDXといった新しいシステムが分からず、後継ぎがいないから辞めるという話も聞きます。それなら僕らがオンラインでも引き受けられるよう人を集めて、対応できる体力を作らないといけないと感じているんです。

会社の規模を大きくする理由が、税理士の高齢化問題にも関わっているということですね。税理士を目指す若者も少ないのでしょうか?

残念ながらその通りです。AI技術の進歩でなくなるといわれている業務にデータ入力や会計監査が含まれていて、税理士もなくなると誤解している人がいるんです。

マッチポイント事務所の応対室
マッチポイント事務所の応対室

業界としては若手が少ない中でも、貴社には多く働いています。何か若い人が働きたくなる環境を整えているのでしょうか。

税理士の下で働く職員の成長支援には力を入れています。事務所には税理士よりも職員の方が多く、企業のトップと会って話すのは職員の仕事です。社長の信頼を得る優秀な職員を育てるために、独自の教育制度「マッチポイントカレッジ」を実施しています。

どのような教育制度ですか?

「仕事を見て、とりあえず実践」という古い考えをやめ、会議のファシリテーションや営業の仕方、部下指導など、コミュニケーション方法の研修に力を入れています。極論ですが、コミュニケーションが上手であれば、お客さんと信頼関係を築くことができます。

どんな方法でお客さんと良好な関係を築いているのでしょうか。

お客さんに期日を正確に伝え、僕らは期日をしっかり守ることを徹底しています。その上で、5日間の期限のところ、1日早く終わせるようにしたりします。予定より仕事が早いと、お客さんに喜んでもらえますよね。これも信頼度を上げる、コミュニケーション方法の一つだと伝えています。ほかには、社内の「共通言語」でお客さん対策をしているのは、面白いことかもしれません。

「共通言語」を使ったコミュニケーション対策ですか? どんな方法でしょうか。

相手の性格を共通言語を使って分析し、気に入ってもらえるコミュニケーション手段を取ることです。「今日はCPとAが高い人だった」と仲間から言われたら、「ちょっと頑固で、ロジカルな人」です。その上で、ちょっと頑固なら、孫みたいに可愛がってもらうのが上手くいきそうだと、対策できるわけです。

仲間と助け合い、従業員が伸び伸びと働ける場をつくる

マッチポイントの事務所内観
マッチポイントの事務所内観

2020年に全国中小企業クラウド実践大賞の「札幌商工会議所会頭賞」を受賞しています。どういった賞ですか?

クラウドシステムをうまく使っている企業に贈られる賞です。僕らの会社は、みんなが働きたい会社でありたいと考えていて、コアタイムのない完全フレックス制やフリーアドレス、在宅ワークなどDXを活用して生産性を向上させました。

コアタイムがないということは、夕方から夜まで働く人がいてもいいということですか?

そうですね。12時に出社する人もいますし、中抜けしてジムに行く人もいます。職員の子供が熱を出したら、午前中は休んだり、在宅ワークにしたりするのも自由です。こういう会社は、従業員の家族にとってもうれしいじゃないですか。「ここで働いてほしい」と家族から思ってもらえることも大切にしています。

働き方が自由で休みも取りやすいのは素敵ですね。

でも、お客さんからの依頼は、マッチポイントが受けていることですから、自分の仕事だけが終われば好きに休んでいい訳ではありません。「困っている従業員がいたら、ちゃんと助けてから休んでね」と伝え、みんな守ってくれています。決算時期に熱を出して休んだ職員の代わりに仲間みんなで仕事を全部終わらせたことがあり、僕らの会社って素敵だなぁと実感しましたね。

税理士事務所の強みを生かした新たなサービスを構想

株式会社マッチポイントの代表取締役兼税理士法人マッチポイントCBOの鈴木洋平さん
陽気でフレンドリーな鈴木洋平さん

まずは北海道No.1の税理士事務所を目指すということですが、その先の展望も見えていますか?

良いサービスがあるのに、事業継承できず潰れていく会社を買い取って運営する構想があります。従業員が社長に就いて経営者の視点を学び、経営が軌道に乗ったら、本社に戻るという仕組みができたら、企業のトップにアドバイスするのが仕事の税理士事務所としては、絶対プラスになります。社長に就く人材は、経営者になりたい人を採用したいと思っています。

税理士事務所で働きたい人ではなく、社長になりたい人を雇うということですね。

そうですね。うちで財務やアドバイス方法を学んで、社長業を実践できたら、うちに就職したい人は増えると思います。2020年には不動産仲介の「マッチメイク株式会社」、2022年には中小企業に適したサービスを提供する「マッチボックス株式会社」を立ち上げ、新たな事業展開にも力を入れていますから、僕らは面白くなる一方ですよ。

いずれの会社も税理士事務所が関わるからこそ、他社とは異なるサービスを提供できるそうですね。立ち上げのきっかけや、独自のサービスなどを教えてください。

不動産仲介業のマッチメイク株式会社設立のきっかけは、他の士業が登記まで完了した不動産に関する相続時の税金を、僕らなら何百万円も節税できるケースがあったことです。僕ら税理士事務所と紐づく不動産会社があれば、一人ひとりに合わせて、税金のことをちゃんとしてあげられますから。

不動産売買に関わる士業のみなさんでは、複雑な税金のことを把握するのは難しいということでしょうか。

いえ、不動産会社や他の士業の方がいくら税金に詳しくても、個別に税の相談に乗ったら税理士法違反なんです。

なるほど。投資セミナーなどで彼らが「個別相談は税理士へ」というのは、これが理由なのですね。実際に不動産業を始めるにあたり、税理士事務所が携わる会社ならではの強みはほかにも感じましたか?

不動産の無料査定ですね。よくある査定サイトでは「売価」が分かりますが、僕らは「税金も計算した上での手元に残る金額」が提示できることです。不動産を売るみなさん知りたいことなので、僕らにも勝機があると確信しています。

もう一つのマッチボックス株式会社は、中小企業向けのサービスを「集めて」「届ける」がコンセプトだそうですね。

はい。先ほどもお伝えした通り、税理士事務所の強みは「企業のトップに必ず会える」「会社の財務状況を把握できる」「社長のやりたいこと、興味があることが分かる」。商品やサービスの購入を決定する「意思決定者」を、札幌で営業したい会社に紹介できる可能性が僕らにはあります。そんな会社は弊社に必ず関心を持つと思っています。

そうですね。営業マンにとって、商談相手は会社の決定権がある人なのが重要である一方、その人と会うのが大変ですから。

その通りです。しかも僕らは顧問先の社長の多くが、世の中にあるサービスが多すぎて選べないという悩みを持っていることも知っています。それなら、サービスを売りたい会社と、サービスを買いたい会社を僕らがマッチングしたらいいと思い始めました。僕らには顧問の税理士事務所として、会社を良くするものだけを提案する責任があります。その信頼関係があるからこそ、顧問先には必要なサービスが置いてあるセレクトショップとして、マッチボックスを利用してもらいたいと考えています。

(取材、撮影:北山大樹、文・編集:片野睦)

インタビューに応えてくれた人

鈴木洋平さん
税理士法人マッチポイント CBO 鈴木洋平さん

1978年札幌市出身。北海道大学理学部数学科卒業後は定職に就かずオンラインゲーム三昧の日々を過ごす。2010年に公認会計士試験短答式に合格した後、道内の税理士事務所や保険代理店で働き、2016年に大学の同期だった小島匡彦(現・税理士法人マッチポイント共同代表)が務める税理士事務所に誘われて入社。翌年、社内ベンチャーとしてマッチポイント株式会社を設立。2019年に税理士法人マッチポイントを立ち上げる。