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株式会社すみか 代表取締役・月館海斗さん|学校や企業と連携し、子供の意思を尊重したキャリア教育をサポート

札幌圏
教育
株式会社すみか代表取締役月舘海斗さん

子供と学校、企業を繋ぎ、キャリア教育をバックアップする株式会社すみかの代表取締役・月館海斗さんは、元高校の教師。小・中学生向けのプログラミングスクールの勤務を経て起業し、今また学校現場に戻ってきた月館さんですが、教師を辞めて起業した理由には、教育実習や教師時代に感じた違和感がありました。

実習で教育現場の課題を感じ、高校教師になる

株式会社すみかで行っている教育支援プログラムの様子
株式会社すみかで行っている教育支援プログラムの様子

月館さんの経歴をお聞きします。最初は高校教師をされていたそうですが、教師になることが子供の頃からの夢でしたか?

いえ。一般企業のサラリーマンの予定で、教師は“保険”程度で考えていました。でも、教員免許を取るために高校へ教育実習に行った時に考えが変わりました。生徒が学校祭の話し合いに行き詰ってもフォローしない担任に違和感を覚えたんです。「自分なら、もっと生徒を後押しできる」と、教師を第一志望として目指すことにしました。

実際、教師になって生徒を後押ししたエピソードを教えてください。

女優を目指す生徒に芸能界の人を紹介し、業界の話を聞かせたことがあります。他の教師には受験を勧められたようですが、プロと話すことで夢を追う決心が着き、結果、大きなオーディションで入賞することができました。その時は、生徒を後押しできたとやりがいを感じましたね。

教師になって3年で、小中学生向けのプログラミングスクールに転職しています。同じ教育現場でも民間企業に転職したのはなぜですか?

社会科の教師なのに、社会を全然知らないことに気付いて、民間企業で働きたくべきだと感じたからです。転職先でも教育現場に関わり、子供たちを応援したい気持ちがありましたから、そのスクールを選びました。当時は、プログラミング教育が導入されたばかりの時期。自分も学びたかったですし、子供たちが最先端の内容をどう学ぶのかにも興味がありました。

子供の「やりたい!」を応援する会社を起業するも、サービス開発資金に苦労

オンラインミーティングシステムを使った支援も
オンラインミーティングシステムを使った支援も

そのスクールではスタッフの起業を推奨し、2021年7月から多業種の大人に進路相談できるサービス「canau(カナウ)」の制作を始めたそうですね。

はい。このサービスをはじめた当初はプラットフォームサービスで、一からサービスを作るのは本当に大変でした。特に厳しかったのは金銭面です。札幌市主催のリードエンジニア発掘・育成プログラム「STAND OUT」や、公庫などからの融資も受け、株式型のクラウドファンディングで1000万円を調達したにも関わらず、ギリギリの財政状況で……。

大変な時期を乗り越えられたのですね。メンタル面は大丈夫でしたか?

当時の記憶がほとんどないのですが、ストレスは感じませんでしたね。むしろ大変さを楽しんでいたと思います。自分の性格がリスクを恐れるというより、チャンスをどう見つけるかという発想を持っているので、経営者向きだったのかもしれませんね。

新たなカリキュラムに対応したサービスで、再び教育現場へ

株式会社すみかで行っている教育支援プログラムの様子
株式会社すみかで行っている教育支援プログラムの様子

現在は、学校と企業を結びつけ、子供の社会連携を促す事業を展開していますが、どのようなサービスですか?

学習指導要領の改訂で、2022年から高校に「総合的な探究の時間」というカリキュラムができました。生徒たちが自ら設定した課題を調査・分析して、発表するというものです。ノウハウのない先生たちだけで授業を作るのは難しいので、私たちがコーディネーターとして授業を設計したり、必要に応じて連携する企業から人を呼んだりしています。

学校や子供と直接関わることになって、サービスの手ごたえを感じていますか?

先生たちの負担軽減に繋がっていることや、子供たちがコンテンツをおもしろがってくれていることが目に見えて分かり、非常に手ごたえを感じています。でも、まだまだこれからのサービスですので、まずは導入校を増やすことが目標です。

小さな成功体験を積み重ねられる場を作り、日本の未来を変える

実際に従業員が学校へ行き、指導することも

子供教育に携わっていて、今、懸念していることはありますか?

「世界や社会を変えられる」と思っている子供が、日本には26%しかいないことです。これは世界でも断トツに低い数字で、私は自己肯定感の低さが原因だと思っています。自己肯定感の高い子供を増やすことで、日本はもっと良くなるはずです。

自己肯定感を上げるには、どんなことが子供には必要ですか?

小さな成功体験の積み重ねです。だからこそ、私たちが子供が成功体験をたくさん積める場所を増やすことが使命だと思っています。その取り組みとして、企業の課題を高校生が解決する塾を作るのもいいなと考えています。

子供と接する上で、月舘さんが心がけていることを教えてください。

自分自身がチャレンジすることですね。身近な大人が楽しそうに働いていれば、子供たちも将来が楽しみになるはずです。誇りを持って働く姿を見せることが、一番のキャリア教育だと思います。

(取材・撮影:北山大樹、文:桑田奈々子、編集:片野睦)

インタビューに応えてくれた人

月館海斗さん
株式会社すみか 代表取締役 月館海斗さん

1994年生まれ。札幌市出身。社会科の高校教師を経験後、民間のプログラミングスクールの講師に転職。「安心して挑戦できる環境をつくる」という想いを事業にした株式会社すみかを2022年1月に設立。高校生が企業の課題を解決するプログラムをはじめ、学校と教育を近くする事業を複数展開している。