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株式会社電力シェアリングは、北海道等で、ガス・灯油・電気の使用量や料金の削減を通じてCO2排出量の削減を促すためのデコ活・ナッジ社会実証を実施しています

エネルギー

脱炭素社会実現を目指す新しい国民運動「デコ活」の下、電気だけでなく、ガス・灯油のCO2排出量のトータルの効果的な削減を促す環境省ナッジ社会実証実験事業を実施

株式会社電力シェアリング

「デコ活」とは、「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」の愛称であり、二酸化炭素 (CO₂)を減らす(DE)脱炭素(Decarbonization)と、環境に良いエコ(Eco)を含む”デコ”と活動・生活を組み合わせた新しい言葉です。

環境省の「デコ活」紹介サイト: https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/

当社では、デコ活の一層の主流化に貢献すべく、当社オリジナルのDSナッジモデル:エネルギー版を用いて、北海道民を対象に、電気だけでなく、ガス・灯油も含めたエネルギー全体のCO2排出量の効果的な削減を促す環境省ナッジ社会実証実験事業を実施しています。

DSナッジモデル

令和5年度に予備的な実証実験を実施したところ、料金の目標を設定したり、室温センサーを設置したりすることにより、エネルギー料金の合計が統計的有意に減少すること等が実証されました。

今後、結果を踏まえて介入内容を見直し、複数の季節・年度にわたる効果の持続性の検証等の本格的な実証実験を実施する予定です。

予備実証の結果

ガス・灯油を含めた住まいの省エネを促すナッジは、令和5年度に予備実証を行いました。その結果は、今年6月28日に環境省より報道発表されており、その内容を一部転載します。

環境省ナッジ事業の結果について ~北海道における本格的な実証実験へ~

■予備実証実施期間

令和5年12月から令和6年2月

■実証実験参加世帯及び介入内容

  • 北海道在住の調査会社のモニタ900人を無作為に以下の3つのグループのいずれか(300人ずつ)に割当てました。
  • 比較対象としてナッジを提供せず、電気・ガス・灯油の使用量及び料金を記録するグループ(対照群)
  • 対照群の内容に加え、電気やガスの料金の目標を設定するとともに、目標を達成した場合に抽選で金銭価値のあるポイントを付与するグループ(介入群1)
  • 対照群の内容に加え、暖房のある部屋に室温センサーを設置し、市販のスマートフォンのアプリを通じて室温とその推移を表示するとともに、設定した室温以上となった場合に通知が送られるグループ(介入群2)

■用いた市販のスマートフォンのアプリの概要

  • 室温センサーと連動し、部屋の温度や湿度、それらの推移を可視化する。
  • 目標とする室温を設定でき、その室温以上となった場合には通知メッセージが表示される。
配布した市販室温管理アプリ
配布した市販室温センサーデバイス

■結果

  • 対照群と介入群1の間及び対照群と介入群2の比較において、ナッジにより電気・ガス・灯油の使用量が減少する傾向が確認されるとともに、電気・ガス・灯油の料金の合計が統計的有意に減少しました。一方で、介入群の間では統計的有意差は検出されませんでした。

■今後について

  • 令和6年度においては、令和5年度の予備的な実証実験の結果を踏まえて実証実験の参加世帯数や介入内容の見直し(複数のナッジ要素の組合せ等)を行うとともに、複数の季節・年度にわたってナッジの効果を持続させるための本格的な実証実験を実施する予定です。

本事業に関する当社の問題意識:環境省の公式見解ではないことに留意

仮説

  • ガスや灯油を家庭で直接燃焼する暖房のほうが、遠方での石炭・重油火力発電による電気ストーブや床暖房を含む電気式暖房より、熱量当たりの排出量が小さくなる場合がある。
  • 電力送配電網の時間帯別炭素強度は大きく変動するため、再エネ比率が低く炭素強度が高い時間帯では、電気式暖房からガス・灯油暖房に代替することでCO2排出量が減少する場合がある。

現状と課題

  • 家庭での灯油・ガスからの排出量は全体の24%を占める重要領域であるが、当該分野でのCO2削減に関する研究は、①電力に比してデータ収集が困難、➁消費抑制のCO2排出回避効果を、電力と通算評価することが困難、③少しでもCO2を発する熱源の議論は忌避され、節電研究ほど活発になされていない。
  • こうした課題を克服するため、上記の2つの仮説を立て、各熱源の送電網の時間帯別炭素強度に比しての相対優位(劣位)を定量化する手法を発明し、特許を取得した(特許7336816・特許7369494)。
  • これらを用いて、「火力発電が多い時間帯はむしろガス・石油暖房が安くてエコな場合もある」状況を地域別特性を考慮して検証する。立証され次第、その事実を分かりやすく訴求して、熱源の最適化を促すナッジモデルを構築し、各熱源の消費実績を合理的な範囲で正確に取得し、その効果を検証したい。

過年度調査結果

  • 灯油・ガス・電力の通算型省エネナッジモデルは、灯油消費量の多い寒冷地でとりわけ重要である。北海道庁の依頼を端緒とする過年度のナッジ実証等では、以下の知見を得た。

  ①北海道民の暖房時の室内温度設定は、他地域に比して高い、

  ➁エアコン普及率は40%強で、道外の1/2、

  ③暖房の石油・ガス比率が高い、

  ④こたつや電気カーペットのような局所暖房器具の普及率が低い、

  ⑤北海道民の環境意識は全国平均程度。

光熱費負担

  • 北海道の世帯当たり冬季月額光熱費は28,900円で道外平均(16,600円)に比して74%高い。
  • 中でも灯油料金(8,100円)が突出して高く、道外の5.0倍。この傾向は一戸建や2人以上世帯で顕著。光熱費に占める灯油代の割合(28%)は道外(10%)の2.8倍であり、電化率の低さも課題である。
  • 光熱費支出への意識は高く、省エネ行動率も高い。
  • 冬季の室内温度は居室・寝室ともに道外に比べ高い。深夜を含め終日全館暖房する世帯が多い。家庭の温熱環境への満足度も高い(当項目のみ社外調査の引用)。
  • こたつなどの電気系局所暖房の利用率が顕著に低い

当社考察

  • 冬の厳しい北海道において、灯油主体の高温・常時・全館空調から低炭素型熱源による低温・随時・局所暖房の補完率をQoLを維持しながらも高めていけるかが課題。
  • ロシアから欧州へのガス遮断でのLNG価格高騰もあり、電気料金高騰が定常化する一方で、足下の原油価格は、世界的な景気後退懸念でウクライナ危機前の水準まで低下している。円高回帰や政府補助金もあり、灯油の電力への価格優位性はむしろ高まっている。インフレが家計を圧迫する状況下で、熱源の灯油から電力へのシフトを進めるには、ナッジ等の行動インサイトの活用が必須条件。
  • 北海道庁の協力を得て、各世帯のCO2排出量や全国との比較を可視化し、そのうえで社会性・利他性・損失回避等のメッセージを伝える等の訴求によるナッジ実証実験を企画する。

出典:PR TIMES