北海道電力株式会社 人事労務部採用グループリーダー・高峰尚さん|北海道の未来を作る仕事。ほくでんグループが求める人材とは?

電力業界は大きな転換期を迎えています。
2020年の電力自由化に伴い、北海道電力株式会社と北海道電力ネットワーク株式会社は分社化。業務の専門性と効率が高まり、社会インフラを支える責任とともに、新たな価値を創造していくチャンスが広がっています。
本記事では、人事労務部採用グループリーダーの高峰尚さんへのインタビューを通じて、ほくでんグループで働く魅力や求める人材像、採用戦略について詳しくお伝えします。
安定した社会インフラを支えながらも、挑戦できる環境とは? 技術職・事務職それぞれのキャリアの可能性とは? これから就職・転職を考える皆さんに向けて、ほくでんグループのリアルな魅力をお届けします。
エネルギーの未来を支える——ほくでんグループの役割とDX戦略

北海道電力(以下、北電)と北海道電力ネットワーク(以下、ほくでんネットワーク)の事業内容について教えてください。
北海道電力は、電力の自由化に伴い2020年4月に2社に分社化しました。発電・電力販売の事業を担う北海道電力と、電力を送る送配電事業を担う北海道電力ネットワーク。それぞれの役割を明確に分けることで安定したエネルギー供給体制を構築しています。
ーーほくでんグループは、安定したエネルギー供給を使命としながらも、それだけにとどまりません。再生可能エネルギーの活用やカーボンニュートラルへの取り組み、新技術を活用したDX推進など、未来を見据えた事業展開を進めています。
電力事業のイメージが強い御社ですが、現在はガスをはじめとするさまざまなエネルギーを取り扱っていますよね。エネルギーに関する最近の取り組みについて教えてください。
責任あるエネルギー供給の担い手として電力の安定供給が最優先のミッションですが、それに加えてエネルギーの脱炭素化、カーボンニュートラルに向けたさまざまな施策を進めています。例えば、CO2を排出する火力発電においては、水素やアンモニアの利活用など、できる限り排出量を抑える取り組みを進めています。もちろん風力発電や地熱発電などの再生可能エネルギーの活用にも力を入れています。さらに、これまでのように『電気を作って売る』だけでなく、いわゆる非エネルギー分野でも、地域の皆さんと一緒になって地域社会の課題を解決し、北海道の発展に貢献することにも、より一層取り組みを進めているところです。
地域と共存しながら、新しい事業の形を模索されているんですね。
コーポレートサイトではDX(デジタルトランスフォーメーション)事業についても触れられていますが、具体的にはどのような取り組みをされていますか?
DXに関してはまだ発展途上ですが、すでにさまざまな分野で活用を進めています。例えば、電力設備(送電線や配電線)の点検にはドローンを活用し始めています。今後は水中ドローンを使ってダム設備の点検を行っていく予定です。また、事務作業の効率化を目的にAI技術の導入を進めており、火力発電所では巡視点検ロボットの開発も行っています。電力設備の保守点検を高度化しながら、DXの力を活用して業務の効率化・最適化を進めているところです。
技術者の未来を支える——求める人材と働く環境

現在働いている方についてお聞かせください。現在の従業員数、男女比などはどうですか?
北電で約2,500人、ほくでんネットワークで約3,000人、2社合計では5,500人弱が働いています。技術職が多いこともあり女性の比率は少し低めですが、女性技術者の採用を増やすため、環境整備などの取り組みにも注力しています。一方で、経理、カスタマーサービス、販売、法務などの事務職については、女性比率は約40%で、男女問わず活躍できる環境が整いつつあります。
そもそも学校で電気機械系を専攻している女性が少ないという現状も、女性比率を増やせていない理由の一つになりますが…。
ーー技術職の分野でも女性の活躍の場を広げる取り組みが進められていますが、依然として業界全体で技術系人材の確保は大きな課題となっています。ほくでんグループとしては、どのような人材を求めており、どのような採用戦略を取っているのでしょうか?
現在の採用における課題はありますか?
ありがたいことに事務職(文系学生)の応募は順調に推移しており、優秀な学生が集まっています。
一方で、技術職(理系学生)の応募獲得には苦戦しているのが現状です。おそらく全国的に、他の企業でも同様の悩みを抱えていると思いますが、当社は採用数も多いので、それだけ応募数を増やしていかなければ、と課題を持っています。
技術職というと、具体的にどのような仕事内容になるのでしょうか?
まず、原子力・火力・水力をはじめとした発電所の運営や統括管理を担当する発電部門があります。そして送配電・変電、電力を安定して供給するための設備管理や通信インフラの整備を行う流通部門。また、社内全体のDXを担当する情報系部門があり、それぞれの分野で専門知識を活かせる職場があります。
そのうえで、技術職に求められるのはどんな人材でしょうか?
やはり電気・機械・化学・情報通信の分野ですね。一般的に『北電=電気・機械』というイメージが強いと思うのですが、実はそれ以外の専攻の方も歓迎しています。たとえば、応用物理を学んでいる方も活躍できるフィールドがあります。しかし、こうした情報が学生に十分に伝わっておらず、『自分の専攻では北電に応募しづらいのでは?』と思っている方も多いんですよね。
ただ私たちは、専攻分野に加えて『人物で採用する』という方針を持っています。特に私は“パッション”や“ポジティブ”の姿勢を大切にしています。専攻にとらわれすぎず、北電の未来を一緒に創っていく意欲のある方にぜひ応募してほしいですね。
中途採用についても力を入れていると伺いました。
そうですね。もともと中途採用枠は設けていましたが、近年は特に強化しています。おかげさまで経験豊富で優秀な方も多く、当社のニーズに合った方を積極的に採用しています。
採用方法もさまざまですが、『リファラル採用(社員紹介)』では全体で5,000人規模の社員がいるため、紹介による入社が増えています。
また『カムバック採用』にも力を入れており、一度他社に転職したものの、再び当社に戻ってくる方も少なくありません。転職後に『やはり北電の仕事が自分に合っている』『制度や仕事への想いは北電の方が良かった』と感じて戻って来られるケースもあり、社内でも温かく迎え入れる文化があります。
一度転職した社員が戻ってくるというのは、他の企業ではあまり見られないケースですね。それだけ御社が働きやすい環境であり、社員にとって魅力的な職場であることがよく分かります。
学生向けのインターンシップは実施されていますか?
はい、インターンシップには特に力を入れています。「業界研究コース」では北電の仕事全般を紹介し、「部門別コース」では水力・原子力・販売など特定分野に特化したプログラムを提供しています。夏・秋・冬の3回に分けて実施しており、より多くの学生に業務を体験してもらう機会を設けています。
今後の採用戦略についてはいかがでしょうか?
やはり、技術系採用を強化していきたいという想いがありますね。
エージェントを通じた採用活動に加え、それ以上に私たち自身が直接学生とつながることを重視しています。よって、道内では大学訪問や説明会などを積極的に実施し、より直接的なアプローチを強化したいと考えています。
あとは、道外の大学で学ぶ北海道出身の学生に対して、地元で働く選択肢として当社を知ってもらうことが課題ですね。今後、どのようなアプローチが効果的かを模索しながら、より積極的に情報発信を行っていきたいと考えています。
福利厚生・研修制度——社員の成長を支える充実したサポート

福利厚生や研修制度について教えてください。
もともと福利厚生は手厚い企業なのですが、最近はライフスタイルや働き方の変化に合わせて、制度の見直しを進めています。例えば、時短勤務・フレックス制度・在宅勤務の拡充など、社員が働きやすい柔軟な環境を整備しています。男性の育休取得もかなり増えてきていて、30%を超える取得率になっていますね。
技術職の方に、資格関連のサポートなどはあるのでしょうか?
資格については合格祝い金制度を用意しています。例えば、電気主任技術者などの国家資格取得に対し、グレードに応じた合格祝い金を支給しています。
技術職のみならず事務系社員でも資格取得に挑戦する人が増えており、スキルアップを支援する体制が整っています。
ほくでんの未来を共に創る——採用担当者からのメッセージ

最後に、これからこの業界へ就職や転職を考えている人へメッセージをいただけますか。
北海道の経済や社会の根幹を支えるうえで、エネルギーは非常に重要な役割を果たしています。当社は単に電力を供給するだけでなく、今後、水素やアンモニアなどの次世代エネルギーや再生可能エネルギーの分野にも取り組み、持続可能な未来を築くための挑戦を続けています。
こうしたエネルギー分野の変革を担い、北海道の未来を共に創っていく熱意ある学生の皆さんに、ぜひ仲間になっていただきたいと考えています。
また、当社が成長・発展していくためには、急速に変化する事業環境を先読みし、機を逃さずチャレンジしていく姿勢が欠かせません。新しいほくでんグループを築いていくためにも、熱意と行動力を持った皆さんの応募をお待ちしています。共に魅力ある北海道の未来を創造し、具現化していきましょう。
齋藤社長も「変革は糧でありチャンス、熱意を持って積極的にチャレンジできる人材を」とお話しされていましたよね。やはり採用においても意識されているところでしょうか。
そうですね。電力事業の在り方は大きく変わっています。かつては「電力=北電」でしたが、今は多くの企業が参入し、電力販売の競争が激化しています。選ばれ続けるには、差別化されたサービスや付帯事業を通じて、より豊かな暮らしを提供することが求められます。
例えば、お客様との接点も変化しています。以前は対面が主流でしたが、今はメール通知やオンライン決済が一般的。そのため、新たな形での関係構築が必要です。
また、北海道では依然として石油暖房を使う家庭が多く、安全で環境負荷の少ない電気への転換が課題です。ヒートポンプなどの省エネ機器を活用し、CO2削減につなげるとともに、CO2フリー電力の普及にも力を入れています。
こうした取り組みには、事務系の職種でも新たな発想や工夫が求められます。「電化はコストが高い」というイメージを払拭し、利便性を伝えることも私たちの使命。従来の電力供給の枠を超え、お客様に寄り添ったより良いサービスをご提供できるよう、新たな挑戦を続けていきます。
--変革期を迎えるエネルギー業界において、従来の電力供給にとどまらず、DXやカーボンニュートラルなど新たな挑戦を続ける北電とほくでんネットワークの2社。採用においても、技術系人材の確保や多様性の推進に力を入れており、未来を見据えた戦略が感じられました。
(取材:北山大樹・宍戸拓仁、文:鈴木綾香)
インタビューに応えてくれた人
