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マルゴト株式会社 代表取締役・今啓亮さん|業務を完全フルリモート化し、地方在住者の活躍の場をつくる

札幌圏
コンサルティング・リサーチ業界・専門事務所・監査法人・税理士法人
マルゴト株式会社 代表取締役・今啓亮さん

採用支援事業やバックオフィス代行事業を手掛けるマルゴト株式会社では、平日も時間を有効活用できるよう、在宅ワークできる環境を整え、現在150人以上の社員全員がフルリモートで働いています。2023年には、テレワークで経営効果や地域活性化を実現した20団体が表彰される総務省主催の「テレワークトップランナー2023」に選出。完全オンラインの交流ながら、社員教育やコミュニケーションの方法を体系化して、質の高いサービスを提供しています。

3度の起業経験を生かせる「人材採用」を事業の柱に

マルゴト株式会社 代表取締役・今啓亮さんのカンボジアでの様子
26歳でカンボジアに渡り、現地で人材紹介会社を起業しました

マルゴト株式会社の起業のきっかけは何ですか?

実は、マルゴト株式会社は3度目の起業なんです。最初は北海道大学教育学部在学中に、家庭教師の団体を作りました。2度目は、知り合いの社長がカンボジアでビジネスを成功させているのを見て、現地で人材紹介会社を作りました。32人の社員がいる業界1位の会社に成長しましたが、「子育てをするなら日本がいい」と考えて、2015年に帰国し、その年に今の会社を東京で立ち上げました。

実際経営者になってみて、苦労したことはどんなことですか?また、それをどう乗り越えましたか?

3度も起業しているので、どんなビジネスにしたらいいか、なかなか見つからなかったことです。市場規模の大きい東京にはサービスがありすぎて…。コールセンターのように営業電話をかけたり、クリーニング店の事業オペレーションを請け負ったり、1年半ほど試行錯誤しました。その中でも、人事の分野で声がかかることが多かったんです。お客様に喜んでもらえて、自分もやりがいを感じましたし、採用が得意だと自信が付き、事業にしようと決めました。

なぜ事業が最初からうまく行ったと思いますか?

3度の起業経験が生きたと思っています。採用という仕事は、どんな人を雇いたいかを決め、会社の魅力や強みを洗い出し、「うちの会社に来てほしい」という想いを伝える作業で、実は事業づくりに似ています。他社にない新しい施策を見つける力も起業で鍛えられました。

2022年には札幌に本社を移転しています。移転したことでメリットはありますか?

札幌の企業と繋がりができたおかげで、東京以外の日本全国の採用ニーズを理解できたのは大きなメリットでしたね。鹿児島や名古屋、仙台などの採用も請け負っているのですが、それぞれ札幌と近い状況だったので、日本全国の企業に対応できるという自信になり、サービスを提供できる範囲が広がりました。

経営者として、大切にしていることはどんなことですか?

お客様や社員のためになる事業を続けることです。自分の利益のためだけの会社にはしたくないんです。今まではもちろん、「自分に利益がなくてもやりたい」という想いを持って、事業をしていきたいですね。それに、北海道への貢献も常に意識しています。自分の経験を生かし、いろんな方の起業支援をしています。僕自身が新しいことに挑戦することで、地元が活気づけば嬉しいですね。

人事のスペシャリストチームがベンチャー企業をバックアップ

マルゴト株式会社の社員の画像
普段はフルリモートで働くマルゴト株式会社の社員たち

御社のメイン事業である「まるごと人事」とは、どんなサービスですか?

ベンチャー企業や成長企業を対象とした採用代行です。採用ターゲットの設定、募集文の作成、スカウト文の作成、応募者の対応など、面接以外の採用に関する業務すべてをオンラインチームが代行しています。月額制で1カ月間から契約でき、95%以上のお客様に契約を継続していただいています。支援企業は2024年3月現在で累計390社を突破しました。

他社の採用代行サービスとは何が違うのですか?

社員の教育やマネジメントを徹底して、専門性の高いチームで運営していることです。人と会社を引き合わせるだけの当たり外れが大きい業務委託のマッチングサービスではなく、ミスマッチのない、お客様の満足度が高いサービスを提供できていると自負しています。

お客様の対象をベンチャー企業や成長企業に絞っている理由は?

ベンチャー企業には、新しい取り組みをしていて、面白い事業をしている企業がいっぱいあります。そんな会社を応援したいからです。しかも、成長している企業は採用に力を入れていることが多く、当社の事業とマッチしています。

本社移転後の2023年には、書籍「『本当にほしい人材』が集まる中途採用の定石」も出版されていますね。

ベンチャー企業をターゲットにしている当社ですが、どんな企業にも役立つ中途採用のノウハウを本にしました。札幌に帰って来て感じたのは、東京と比べるとまだまだ地方都市には採用の知見が浸透していないということ。新卒採用に関連する本はたくさんありますが、中途採用に特化した本はほとんどありませんでした。私が使命感を持って書き切ったので、多くの採用担当者に手にとってもらいたいですね。

フルリモートだからこそ、社員ファーストの働きやすい環境をつくる

マルゴト株式会社の経営セミナーの様子
フルリモートの組織づくりが評価され、経営セミナーに登壇することもあります

2024年3月現在、御社には155人が働いているそうですね。どんな方が多いですか?

当社は社員の85%が女性です。フルリモートで働けるとあって地方在住者が多く、地方の雇用創出の観点で社会貢献できていると感じています。今後も積極的に採用して、社員を1000人規模にしていきたいですね。

今さんご自身は人事経験がないそうですが、どのようにして会社を成長させたのですか?

最初に人事経験者を集めて、組織を作りました。人事の業務範囲は広く、採用でも中途と新卒では全くプロセスが違います。クライアント企業の規模や業種、地域によってもアプローチ方法が変わるので、人事経験者をチームとして運営したほうが合理的と感じ、取り組みました。組織づくりをしていたコロナ禍では、多くの企業で採用がストップしたことから、人事担当者が転職を考えていたようです。当社ではフルリモートで働けるということも、時代のニーズに合致したと思います。

2023年には、総務省が主催する「テレワークトップランナー2023」に選定されています。会社としてはどのような取り組みをしていますか?

絶対に全社員がフルリモートで働く組織にしたかったので、社員にも知恵を出してもらいながら、スタッフ全員が仕事しやすい環境を模索しました。

フルリモートでは社員のコミュニケーションが難しいこともあると思います。メンバーとはどのように意思疎通していますか?

「メンバーとリーダーは週1回、1on1で話す」「チームミーティングを週1回する」「上司に相談できないことは、別の部署のリーダーが話を聞く」などのルールを構築しました。社員全員が閲覧できるオンラインの掲示板も作り、業務のノウハウを共有したり、雑談したりできるようにしています。直接会ったことのないスタッフ同士でも、お互いに採用を極めていきたいと思っているので、コミュニケーションはかなり盛り上がっていますね。

(取材・撮影:北山大樹、文:桑田奈々子、編集:片野睦)

インタビューに応えてくれた人

今啓亮さん
マルゴト株式会社 代表取締役 今啓亮さん
趣味:
YOSAKOIソーラン、ボードゲーム、サウナ、旅行

1986年生まれ、北広島市出身。北海道大学教育学部卒。大学在学中に家庭教師の団体を起業し、2013年にはカンボジアで人材紹介会社を起業。2015年に帰国して、マルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を起業。2023年には「『本当にほしい人材』が集まる中途採用の定石」を出版。