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空株式会社 代表取締役・留目康子さん|保険の力で困っている人を助けたい。法人損保に力を注いで

札幌圏
その他
空株式会社 代表取締役 留目康子さん

組織と従業員の生活を守るため、多くの会社が加入している損害保険。もしもの時に、トラブルを金銭面でカバーしてくれる頼もしい存在です。何かあっていざ補償をという時に、保険代理店が弁護士と一緒に対応してくれたら安心ですね。そんな理想の代理店を目指して開業した空株式会社代表取締役・留目康子さんに、法人損保が果たす役割について聞きました。

万が一の時に頼れる損保。従業員の皆さんの暮らしを守りたい

お客様一人ひとりに寄り添う代表取締役・留目康子さん
お客様一人ひとりに寄り添う代表取締役・留目康子さん

法人の損害保険をメインに代理店業務をされているのですね。

保険全般に幅広く対応し、個人の方の火災、自動車、生命、医療保険も扱っていますが、法人の損害保険が取り扱いの8割を占めています。クライアントは現在約130社。その6割近くが製造や建設、福祉の分野のお客様です。建設現場で足場から物が落ちて通行人にケガをさせてしまったり、従業員の方が体を動かすお仕事で負傷したりといったトラブルが心配な業種ですね。賠償事故や業務災害などに、100%自社対応で動いています。

何かあった時のお客様への対応は、保険会社に任せないんですか?

代理店は保険会社の商品を扱っていますが、保険会社の下請けではないというのが私の考えです。ですから常にお客様の味方として、弁護士さんと相談しながら保険会社との交渉に当たっています。保険会社の担当者とケンカになることもありますよ。お客様に保険会社と直接やり取りしていただくことは、基本的にありません。保険に加入する時に約款の隅々まで読む方はまずいませんから、お客様の不利になる恐れがあります。

保険のプロに任せた方が安心ですね。

私はもともと人の役に立ちたい、困っている人を助けたいという気持ちがあって保険の仕事を始めたんです。今は何でもすぐ訴訟になる時代ですし、もし何かトラブルがあって会社が何千万円、何億円という賠償金を支払ったら、保険がないと小さい会社はやっていけません。倒産まではしなくても、従業員の方たちに影響が出ます。賃金が下がって生活がままならなくなるかもしれませんし、職場の士気も下がりますよね。

事故は個々の努力だけでは防げない。だからこそ備えを

事故防止に関するセミナーを開く空株式会社代表取締役・留目康子さん
事故防止に関するセミナーを定期的に開いています

損害保険の役割について、もう少し詳しくうかがえますか。

労災や火災などは自身や自社を守るために加入する保険ですが、損害保険には相手に対する「賠償責任」をカバーする役割があります。日常生活や事業での事故は未然に防げればベストですが、慎重に行動しても完全に防ぎ切ることはできません。相手がいる事故はあらゆることが起因して起こる上に、損害の大小を自分でコントロールできないので、特に備えが必要になります。

保険料で安心を買うと考えればいいですね。

保険は自分のために入るのはもちろんですが、賠償金のように相手に払うものもあり、人のため、社会のために加入するという考えも必要です。そもそも使って楽しい保険は、ゴルフのホールインワン保険ぐらいのものです。ゼロをプラスにするのではなく、マイナスになったものを引き上げるのが保険の役割。あれば安心、使わずに済めば幸運ではないでしょうか。

代理店としての利益の面では、損保は他の保険より有利ですか?

代理店に入るのは手数料だけですから、1件1件の収益は微々たるものです。それでもお客様の困りごとを解決したいし、すぐには解決できなかったとしても解決方法を模索していきたい。今は常時20件ほど、事故の案件を担当しています。指をちょっとケガしたとか、車をコツンとぶつけたとか、そういった小さなトラブルでも、法人保険のプロとしてきめ細かく対応させていただきます。

理想の代理店を目指し独立。飛び込みとテレアポで顧客を開拓。

空株式会社の代表取締役・留目康子さんが海外交流する様子
20代前半は中国やアイルランドへ渡り、見聞を広めました

社長ご自身はずっと保険業ひとすじだったのですか?

新卒で就職したのは中国の航空会社です。語学が好きで高校2年から中国語に興味を持ち、中国語を専門に学べる北海道文教大学に進学。在学中に1年間留学しました。航空会社では4年間、グランドスタッフとして働いていました。退職後はアイルランドへ渡ってワーキングホリデーを経験し、日本に帰国してからは、短期間ですが福祉の分野でアルバイトもしました。

とてもユニークな経歴ですね。

日本で何の仕事をしようかと考えた時、営業をやりたいと思ったんです。自分の力を試せる職種ですから。それと判例や約款はずっと読んでいられるほど好きで、保険に興味を持ちました。保険業を始めた人は最初に親戚や知り合いに声をかけることが多いようですが、私は飛び込み営業とテレアポに全力投球して顧客を開拓しました。

独立したきっかけは?

以前から40歳くらいで独立をと考えており、在籍した代理店の廃業を機に32歳の時に会社を立ち上げました。大幅に前倒しになり不安もありましたが、自分が理想とする保険代理店をつくるため、思い切って独立してよかったと思っています。元々、事故防止に関するセミナー開催に力を入れていたので、コンサートや学会などの撮影・配信をしている映像クリエイターの友人と共に、保険と映像を扱う会社を創業することにしました。

さらに充実したサポートを目指し、新たな事業も視野に

空株式会社の事務所の内観
明るく清潔感のある事務所

これからの展望や、会社の将来計画をお聞かせください。

2014年に保険の仕事を始め、2019年に独立し、今は私を含め3人の会社です。経営者として会社を大きくしたいという気持ちはあまりないんですよ。人を集めて組織化することに自信があったわけではなく、やりたい仕事を円滑に進めるために会社を立ち上げました。契約によって継続的な利益を得るストックビジネスである保険を扱うからには、保険の利益をお客様に還元していく方法も考えたいですね。

法人向けのサービスを充実させていくわけですね。

働く人が保険以外の困りごとを相談できるように、福利厚生サービスとして法律やメンタルヘルス、介護、育児など、さまざまな分野の専門家の相談窓口を設けたいと考えています。会社が費用を負担し、個々の従業員が会社を通さず気軽に利用できる形にできたらと。2021〜2023年に「SKAI HOKKAIDO」と名付けてモニターの募集等を行いましたが、一度終了させてこれからプランを練り直すつもりです。

保険の代理店が新規事業を立ち上げるのは、珍しいのでは。

大手の保険会社が完成させた商品を扱う仕事が基本ですから、何かを自社開発するケースはあまりないかもしれませんね。コロナ禍で大変な時期に経営者さんたちとお話していて、もっとお役に立てることがあればと思いまして。そのほか、これからは個人情報や社外秘資料といった機密情報の流出や、ウイルスの拡散が賠償問題に発展する可能性に備え、サイバーセキュリティ保険にももっと力を入れていく予定です。

(取材・撮影:宍戸拓仁、文:三本木香、編集:片野睦)

インタビューに応えてくれた人

留目康子さん
空株式会社 代表取締役 留目康子さん

1987年札幌市生まれ。北海道文教大学外国語学部中国語科卒。学生時代に中国語に興味を持ち、大学在学中に1年間中国湖南省へ留学。全日本中国語スピーチコンテスト大学生の部で3位入賞。中国東方航空でグランドスタッフに従事した後、アイルランドでワーキングホリデーを経験。2014年に帰国して保険業を始め、2019年に独立・開業。