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株式会社YSP 代表取締役・真野洋彰さん|時代のニーズを先読みし、成功した記帳代行業

札幌圏
コンサルティング・リサーチ業界・専門事務所・監査法人・税理士法人
株式会社YSP 代表取締役・真野洋彰さん

日々の取引の記録や、確定申告までのサポートなどを行える「記帳代行サービス」。インボイス制度の施行で認知度が上がり、利用者が増えています。株式会社YSP(札幌市中央区)は、いち早く記帳代行サービスを始め、成長してきた企業です。「お客様をいかに喜ばせるか」をテーマに、コンサルティングも行う良質なサービスが生まれた背景には、代表取締役・真野洋彰さんの顧客や時代が求めるものを見極める力がありました。

求められるサービスを提供するため、建築業からコンサル業、記帳代行業へ

札幌市内中心部のビルにある株式会社YSP

これまでの真野さんの経歴を聞かせてください。

最初は個人で建築業を始めたのですが、人やサービスを紹介してほしいと頼んでくる方がものすごく多かった。それなら、コンサルティング業も始めて、少し手数料をもらうことにしました。すると、建築業とコンサル業の売り上げが次第に逆転して、コンサルを事業のメインにしました。約3年間、個人事業主として仕事し、2018年、私が32歳の時に法人化しました。

コンサルティング業は後に、記帳代行業に代わっています。いつ業種変更しましたか?

今から9年くらい前に、マイナンバー制度が施行されると知り、これは確実に確定申告をしなきゃいけなくなるだろうと。確定申告のためだけに事務員を雇えない人たちのサポートをしたいと思い、記帳代行サービスを始めようと思い立ちました。

大胆な業種変更をして、自信はありましたか?

当時、記帳代行に特化している会社はほとんどなかったので、チャンスだと思いました。個人事業主が自力で確定申告するのは難しいですが、税理士に頼むと高額になります。記帳代行サービスなら会計知識が不要で手間もかからず、費用も税理士の半額以下なので、ニーズはあると感じました。

消費税率の引き上げとインボイス制度が新事業の追い風に

今振り返ると、その時が事業を始めるにはいいタイミングだったのではないでしょうか。

丁度良かったですね。この8年間で何が変わったかといえば、消費税率が上がり、2019年には軽減税率制度が始まりました。領収書に10%と8%両方の金額を記載する必要もあって、面倒になりましたよね。それから2023年に始まったインボイス制度です。問い合わせがものすごく増えました。

インターネットで「記帳代行 札幌」で検索すると上位に表示されます。Webからの問い合わせも多そうですね。

実はSEO対策も何もしていないのに、検索上位に表示されるんです。きっと、サービスを始めたタイミングが他より少し早かったからですね。サービスを頼みたい人がWebで探した時、何社か問い合わせると思いますので、検索上位ならその中の1社にうちは入っていそうでうれしいです。

顧客満足度を第一に考え、コロナ禍を乗り切る

社名のYSPは「よりよい・生活・プロジェクト」の頭文字から。お客様に喜ばれるサービスをモットーに対応しています

記帳代行業を始めたタイミングもよく、Web検索でも上位に表示されるなど、立ち上げ当初から事業は順調そうですね。

それが、最初の3年間はちょっと厳しかったです。ただ、うちのサービスは月謝制ですし、月にかかる経費はある程度固定していましたから、損益分岐点を超えれば楽になると信じていました。実際、そのラインに到達してから、その後落ちたことはありません。

今や一般的な料金体系になったサブスクリプションサービスを、いち早く取り入れたのですね。

そうなんです。事業を始めた時から、「毎月ずっと一定額の売り上げがあったらいいな」と思っていました。実際、売り上げ0でのスタートにならず、狙った通りでした。

コロナ禍の業績はいかがでしたか。

うちはすごく良かったです。補助金などの支援制度がたくさんありましたしね。うちは記帳代行の会社ですが、お客様に喜んでもらうことを一番に考えているので、情報提供や申請のサポート、社労士や行政書士の紹介なども行っていました。私たちのサポートで、コロナ禍を乗り越えられたお客様は多いと自負しています。

ということは、現在は順調ですね?

いえ、目標までの達成率は45%くらいです。計画通りなら、1000件以上契約できているはずでした。

1000件を目標値にした理由は何ですか?

1000件までなら、顧客満足度を下げずにサービスを提供できるという自信があるからです。サービスが悪くなっては意味がありませんから。もちろん、その先には1万件、2万件という目標を考えています。

人との繋がりを大切に、時代に合ったサービスを展開

お客様と会うことで、お互いに信頼感が生まれると語る真野さん

先ほど、社労士や行政書も紹介したと仰っていました。士業との連携も大切にしているのですね。

はい。税理士の先生から、記帳の依頼をいただくこともあるので、お付き合いは大切にしていきます。また、今はお客様のほとんどが札幌ですが、今後は全国展開を視野に入れていますので、全国の税理士とも連携したいと考えています。関東では何人かお付き合いがあるので、九州や大阪にも、つながりを作っていきたいですね。

清掃業からコンサル業、記帳代行業を経て、芽生えた理念などはありますか?

コロナ禍を経て「今までやってきたことは正しいのだろうか」と考えている方も多いでしょう。私もよく思い悩みました。でも、世の中の流れを見て、時には変わる必要があると思っています。だからこそ、時代や顧客のニーズに合わせて業種を変えてきました。もし、15年前の自分が今の私を見たら、まさか会計の仕事をしていると思わず、びっくりするでしょうね。

事業を続けていく上で、これからも大事にしたいことはなんですか?

人に会うことです。人に会うことで、感情が伝わってくるんですよね。会ったことのあるお客様は、なぜか必ず領収書を持って来てくれるんですよね。なので、取引先とは会うようにしています。

今後の展開として、他の事業も考えていますか?

遺産相続に関わる記帳代行も取り入れたいと思っています。私と同じ第2次ベビーブームの世代は、一般的な家族構成だと親が80代、兄弟は2~3人なので、今後10年間で遺産問題は増えるはずなので。

(取材・撮影:北山大樹、文:桑田奈々子、編集:片野睦)

インタビューに応えてくれた人

真野洋彰さん
株式会社YSP 代表取締役 真野洋彰さん
趣味:
野球観戦、相撲観賞

1975年札幌市生まれ。個人事業主として建築業、コンサルティング業を経営し、2008年2月に株式会社YSP設立。サブスクリプション形式での記帳代行サービスを提供している。